エディ便り・その2:サァー、みんな!川へ行こう!@浦辺さんからの投稿文です

 いつも楽しく遊ばさせてくれるカヤックにハマって早くも5年になります。
 1998年6月に多摩市カヌー教室を受講、終了後にOさんに誘われ一緒に入会(あまり気乗りしなかった私が今日まで続き、Oさんは2ヶ月で退会)。同期の方も多く、1年目からお陰様で臆することなくクラブ行事のツーリングに参加、キャンプで多くのクラブの方達と色々な話ができて楽しく参加できました。入会してよかったと感じたのは、役員の皆様の活動がボランティアであり(自分ではとても出来ないなと思う)クラブ員に対し気持ちの負担を掛けさせない気配りです。そしてクラブの体質、環境という面では、クラブ運営では、体育会系によくある縛りが無い、自由な雰囲気を最初に感じたことです。そして、遊ぶからには自分の艇がほしいと思っていたところ、板東さんの紹介でピロエットSと用具1式を購入。流水講習にすべて参加。
 2年目からは御岳族(御岳がすきな人、御岳で遊ぶ人…太田さん命名)にお誘いいただき、殆んど毎週日曜日に太田さんに同乗させていただき、御岳(多摩川上流)でクラブの方に助けられて、漕ぎ、遊び、喜んでいます。
 御岳はフィトンチットとマイナスイオン溢れる、カヤックに最高の川です。春のダウンリバーでは両岸に桜が咲き、山々の濃淡の新緑に目が奪われます。夏にはカヌーに乗って上流を見ると、川面がギラギラと目映くモノクロの世界があらわれます。秋には紅葉がとてもきれいで、その中でも玉堂美術館の下にある大イチョウの木(スターの木とよばれている)がみごとです。冬には両岸にツララが出来、寒い雪景色の中を下る途中にいち早く春を感じさせるネコヤナギ等を見つける楽しみがあります。このように新緑から雪景色まで四季折々の景色が1年間楽しめます。そのなかで遊ぶ時がまさに至福の時です。そして、私がカヌーを何故5年間も楽しんで続けてこられたのか、と考えてみました。
 その大きなものは、多摩市カヌークラブが役員皆様の優しさとボランティア活動による指導であり、またクラブ員も上下関係もなく平等な立場で活動できる環境です。そして自分自身の内側では川に行くと楽しくなり、またエネルギーをもらえることです。楽しんでカヌーを続けさせるもの、明日への活力を生み出してくれるものは何なのだろうか、どういうものなのかと思っていました。それが何であるかはなるほどこのことなのだ、と思える文章を見つけました。
 それは石原慎太郎氏の本 [老いてこそ人生] にあります。その描写しているところを長くなりますが次に抜粋してみます。



 京都のある有名なお坊さんが癌になって戸塚氏(戸塚ヨットスクール校長)が治療して治したことがある。琵琶湖で定期的にあるトレーニングをほどこしたのですが方法は簡単で、水の中にサーフィンのためのボードを浮かべて相手をその上に立たせ周りから水を波立たせてボードを揺すり、立っている人間を水に落としてしまう。それを何度もくり返す。
 人間は泳げる人でも潜在的に水への恐怖感があります、いかに水に慣れている者でも同じです。泳ぎの好きな人が頭から水に飛びこんだ時の爽快感も実はそれを逆証しているのですが、いずれにせよ誰でも水に落ちる瞬間は緊張します。そして浮き上がってきた時の開放感と安心感は本能的なものです。それはすべて能幹の活動に繋がっていて、脳幹に新しい刺激を与えてくれる。
 簡単な作業の反復ですが不安定なボードの上で揺れに耐えふんばって頑張る。それでも耐えられずに転倒して水に落ちる、そして浮かび上がる。「なにをこん畜生!」と頑張っては、その甲斐もなくまた水に落ちこむ、そうした動作のくり返しの中で、頑張った甲斐なく転倒してしまう瞬間の怒りと、水に落ちる瞬間の潜在的な恐怖と、水に落ちこむ瞬間の解放感のくり返しの中でそれまで衰弱していた脳幹がそうした本能に繋がる刺激を受けて次第に蘇生していくのです。
 そうした動作の中で「なにをこん畜生!」と自分に怒り、自分を励ましながらくり返すことで知らぬ内に、体の中に自分で自分をしっかり支えて生きていくために不可欠なものが蓄えられていくのです。
 肉体に限っての機能の上でも、その際に体の中で分泌されるアドレナリンの一種が体全体を高揚させてくれて、今まで眠っていた機能が動きだし癌と闘う作用が進展していく。
その結果医者が見放していた患者が驚くほどの寿命を得ました。大切なことは「何を!」という一種の怒りとしての発奮です。



 この情景をダウンリバー時のコース取りの失敗、サーフィンの失敗等での沈、その時に何度もリカバリーに失敗、ロールに失敗、そして成功したときのことに置き換え読んでいました。これは癌だけでなく、心身全体のことを言っているのだと思いますし、このことが無意識のうち心身ともにレフレッシュさせるものと確信しました。
 これからも元気なうちは、また自分一人で艇を運べるうちはカヌーを続けていきます。
 このように人と環境に恵まれていることに感謝!毎週カヤックで遊べることに感謝!!
 サァー、みんな!川へ行こう!
2003年1月記 浦辺 利勝
長良川たちたちの瀬 紅葉の御岳 2月の御岳
2001年・長良川たちたちの瀬! 2002年・紅葉の御岳 2003年・2月の御岳

編集後記

 春の到来とともに、パドラー・タマVol.32のお届けです!4月になるとクラブ活動は活発になります。ツーリングをはじめ毎週日曜日のプール練習、奥多摩での流水講習などなど。前にも述べましたが、なるべくたくさんの会員の方々に参加して楽しんでもらいたいと思っていますので、ご要望などありましたらをぜひ役員までお聞かせください!
 エディ便りでも紹介しているようにクラブには様々な艇があります。下の写真は2年前に艇庫の整理をした時に、壮観だったので記念に撮ったものです。写真には個人艇も含まれていますが、諸先輩の方々に相談しながらいろいろなタイプの艇に乗ってみるのも面白いと思います。
 次回のパドタマは6月の予定です。それでは今年も楽しいカヌーライフを過ごしましょう!
クラブ艇&個人艇

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