ロール便り:パドリングウェアの基礎知識(パドラー・タマVol.11より)

 ここ最近新しい人がたくさん入会されたこともあり、今回はウェアの基礎知識についてあらためてご紹介しようと思います。いきなり全てを揃えるのは大変ですので初めは必要最低限のウェアを購入し、周りのクラブ員が着ているウェアを参考にしながら徐々に揃えていけば良いと思います。
 以下は、98年発行のパドラー・タマVol.11からの抜粋です。

パドリングウェアの機能

 パドリング中は冷たい水に濡れる、水中に没する、水中を流される等のことが考えられます。このような状況から身を守り、快適なパドリングを実現するのがパドリングウェアであり、次のような機能があります。

パドリングジャケット

写真1
ドライジャケット
写真2
1.防水
 パドルがかき上げる飛沫で肌が濡れるのを防ぐのが防水機能です。主に一番外に着るいわゆるアウターウェア
がこの役目を担います。昔(?)は雨合羽等で代用していましたが、今はパドリングジャケット(写真1)、ドライジャケット(写真2)等があります。真夏で水温も高い時期、またはプールで練習する時で濡れた方がむしろ気持ちが良いという時は、この機能を省略してウェア選定することもあります。

2.保温
 低い外気温による、また濡れた体からの気化熱の放出による体温低下を防ぐ機能。また沈した時に冷たい水から体を守る役目もあります。体の表層部に空気の層を作り保温するために、撥水性に優れ、吸水性のない化学繊維のインナーやミドルウェアを着ます。また濡れた状態でも高い保温効果のあるウェアとして、ネオプレーンという素材で作られた、ウェットスーツがあります。

3.保護
 川の流れの中で泳いでしまった時には、岩等に体が接触して怪我をすることが時々あります。これを防ぐためには体を保護するものを身に纏っている必要があります。暑いからといって素肌でパドリングするのはあまりお勧めできません。一番下に着るいわゆるアンダーウェアとアウターウェアを組み合わせて着るのが良いでしょう。ウェットスーツは体全体にゴムのクッションを纏う形になるので、保護効果が一番期待できます。

4.その他
 パドリングウェアの機能としてその他に、パドリングの動きを妨げないこと、さらにファッション性のあること等が考えられます。多少趣味の世界に入ります。パドリング用のウェアはこれらの点も考慮されているものが多いようです。例えば、アウターウェアなら、首や手首、腹部はきちっと密閉されているが、腕は自由に動かせるようになっています。

ウェア選択のポイント

 一番のポイントは「気温でなく水温で選ぶ」ということです。前述の通りウェアは、私たちの大事な体を色々な障害から守ってくれるためのものです。しっかりとしたウェアを着ていれば、パドリングにも余裕が出ます。
 しかしだからといって真夏の太陽の下で、手首から足首まですっぽり覆ったドライスーツ等を着ていたのでは脱水症状等になってしまいます。川で着るのとプール練習で着るのは、水温の違い、岩の有無等状況の違いがあります。常識の範囲で適当にレイヤード、いわゆる「重ね着」をするのが良いでしょう。

レイヤードのタイプ別

ネオプレーンのパドリングパンツ
写真3
 次に、レイヤードのタイプ別に具体的に説明します。初心者の方は、初めからウェアを揃えるのも大変ですので、指導員の意見を聞きながら、あるもので代用するのが良いと思います。

1.アウター
 水の飛沫や風をシャットアウトするために、一番外に着用するものです。パドリングジャケット等があり、生地は防水性に優れています。水の浸入を極力防ぐために、手首・足首・胴回りにネオプレンを使って密封性を図ったものが多いようです。下半身も、防水性のあるパドリングパンツ、ネオプレーンのタイツ等が良いでしょう(写真3)。初心者の方は少なくとも、化繊のズボンにしましょう。後述しますがジーパン等、木綿のズボンは厳禁です。

パイル地のシャツ
写真4
2.ミドル
 いわゆる中間着。濡れても水を吸ったり含んだりしにくい、化学繊維を起毛させたパイル地のものが良いでしょう(写真4)。木綿のトレーナーやスウェット等は厳禁。いったん水に濡れると水を吸ってしまい、且つ乾きが遅く、体に絡み付くように動きを妨げながら急激に体温を奪っていくからです。木綿はアウターにもインナーにも厳禁です。
ホットカプセル
写真5
3.インナー
 一番内側に着るいわゆる肌着です。やはり化繊が良いのですが、オーロン等の登山用は撥水性や非吸水性はOKなものの、保温性がいまいち。今パドリング用として注目されているのは、ホットカプセル(写真5)と呼ばれる新素材です。特殊起毛させた、ストレッチ性のあるジャージ生地に特殊チタンコーティングを施したものです。温熱・保温・通気性という条件をクリアしている優れものです。初心者の方も少なくとも水着は用意して下さい。
ラッシュガード
写真6
4.その他
 ラッシュガード(写真6)と呼ばれるTシャツがあります。真夏に1枚で着るもので、化繊で出来ており表面に超撥水加工がされています。ウェットスーツは、頻繁に水に浸かる可能性のあるパドリングに適しています。素材自体の保温性と浮力、衝撃吸収性が非常に高いものです。ロングジョン・ワンピース・ベストとロングパンツ等色々なタイプがあります。

以上、詳細はカヌー専門店等で相談するのが良いと思います。

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