ロール便り:初心者こそロールを〜後編@強化部長 横山さんより

 さて前回はロールの基本となる『腰のかえし』の練習方法について書きましたが、今回はいよいよ具体的なロールの練習に移ります。ロールには様々な種類がありますが、ここでは具体的な動きがイメージしやすい『CtoC』を紹介します。『ローブレイス』、『ハイブレイス』がある程度不安なくできるようになったら早速チャレンジしてみてください。
ロールの練習(CtoC) ロールの練習(CtoC) ロールの練習(CtoC) ロールの練習(CtoC)

 プールサイドを使った練習
プールサイドを使った練習 プールサイドを使った練習
 まずは実際のロールで行なわれる腰の動きをイメージしましょう。プールサイドに両手をかけフネの底が見えるように腰をかえします(写真左)。頭をできるだけ低い位置に保ったままフネを戻します(写真右)。
Point!
頭の位置は最初から最後まで低い位置に。
フネを戻すときには手の力を使わずに『腰のかえし』で。

 『CtoC』の動き
ブレイス
 上の「プールサイドを使った練習」の写真を見てください。写真左では体左側に『C』が写真右では体の右側に逆の『C』ができているのがわかりますか。ちょっとわかりにくいかも知れませんがこの体の左右の動きが『CtoC』の語源です。沈しているときには頭が水面に近い位置にあり、フネが戻るときには頭が最後まで水中に残ります。プールサイドでの練習に慣れてくると少しずつ両手の力が抜けてくるはずです。そうなればしめたもの。手の力に頼らずに『腰のかえし』を使った動きができるようになった証拠です。さて、ここで前回お話しした『ブレイス』の練習を思い出してください。『ブレイス』ではブレードで水を捕らえた瞬間をきっかけに『腰のかえし』を使ってフネの傾きを回復させました。ブレードが水を捕らえる反動を使うのではないと言うことを何度も書きましたが…『ブレイス』の練習が進むにつれより深い角度までフネを傾けることができるようになったのは、やはりしっかりとブレードが水を捕らえていたからです。


 それではあらためて考えてみてください。『ブレイス』を行なった瞬間にブレードにかかる力と『CtoC』の練習でプールサイドにかかる手の力ではどちらが大きいでしょうか。何度かプールサイドでの練習を行った後では手にかかる力の方が小さいということがすぐにわかるはずです。…結論:『ブレイス』がある程度できていれば『CtoC』はその8割が完成しているのです。

 『CtoC』の具体的な動き
 実際の『CtoC』の動作を一つずつ確認していきましょう。
(以下は右利きの人が右側のブレイスを行なう場合の説明です)

セットその1
●●セットその1●●
 フネの左側にフネと平行にパドルを構えます。そのまま右側に沈します。あまり勢いよく沈すると耳や鼻に水が入ってしまうこともあるので、ブレイスを入れながらゆっくりと沈した後にパドルをセットしてもかまいません。それでも気になる方は鼻栓、耳栓を使えば楽に練習ができます。沈した後両手のこぶしが水面に出るよう上半身を左前方に前傾させ頭をできるだけ水面に近づけます。

セットその2
●●セットその2●●
 両手のこぶしが水面に出たら左腕でフネのボトムを巻きこむようにしてパドルを90度回転させます。このとき右側のブレードが水中に潜らないように注意してください。


 『ブレイス』をきっかけにした『腰のかえし』
腰のかえし 腰のかえし
 準備ができたらいよいよ最終段階です。右手の脇をしめるようにしてブレードで水を捕らえます。水中に押し下げられるブレードがしっかりと水を捕らえているのを感じると同時に素早く腰をかえします。このときあせって頭を持ち上げてはいけません。プールサイドを使った練習のときのようにフネだけを回転させます。フネが完全に起き上がってから頭が水中から出てくるといったイメージを持ってください。
 さてあとは練習あるのみ。ロールに自信が持てれば初めての技術を練習するときにも大胆になることができます。まずはこの『CtoC』を覚えてカヤックの楽しみを広げてください。

 

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